公明党松戸市議会議員
あしだ 満春

国家賠償法と松戸市行政

2025.10.06

国家賠償法という法律があります。

1~6条までしかない条文の少ない法律ですが、国や地方公共団体から国民の権利を守るために制定された重要な法律です。

憲法17条に「何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる」と制定されています。

この憲法の要請を受けて設けられたのが国家賠償法です。

1条責任と2条責任があるといわれます。

国家賠償法1条には、公務員の不法行為によって損害が発生したときに国民が、国や地方公共団体に損害賠償請求を行うことができることが示されています。
公務員の不法行為には「故意または過失」があれば要件として成立するとされています。

これが1つめです。

そしてもう1つ。
国家賠償法2条には、公の造営物の設置・管理に瑕疵があったために国民に損害が発生したとき国や地方公共団体に損害賠償請求を行うことができることになります。
公の造営物とは、道路や市役所庁舎などイメージするといいです。

では、どういうときに賠償請求をできるのか判例をみていきたいと思います。

高知落石事件

最高裁昭和45年8月20日第一小法廷判決に、
高知落石事件というものがあります。

これは高知県内のいくつもの

山を越える国道56号線。
この道路を、大雨の日にトラックが通行していたところ山肌が崩壊し岩石が落下。
不運にもこれが原因で助手席に乗っていた方がお亡くなりになるという事故がありました。

この事故の犠牲となった方のご両親が損害賠償請求を国や県に提起しました。

大雨による岩石の落下という、一見すると不可抗力とも思えるような事故。
裁判では何が語られたのでしょうか。

この道路「いつなんどき落石や崩土が起こるかも知れず、道路を通行する人や車はたえずその危険に脅かされていた」にもかかわらず、道路管理者は「落石注意」の注意喚起を促すのみで、必要な防護柵など対応していなかったと判断されました。

また「防護柵を設置するとした場合、その費用の額が相当の多額にのぼり、その予算措置に困却するであろうことは推察できるが、それにより直ちに道路の管理の瑕疵によって生じた損害に対する賠償責任を免れうるものと考えることはできない」とも。

つまり、対策にかかる費用が高額だといえども公共の道路として通行させている以上は、対策を講じなかった道路管理者に責任があるという判旨でした。

松戸市仮庁舎を判例で考えると

令和7年9月議会では松戸市役所のうち本館・新館の機能を、仮庁舎に移転させるための予算が可決されました。

市はこれまで耐震性が不足する本館・新館については層崩壊を防ぐSRF工法という技法を用いて職員と利用者の命の安全には対応してきました。

今回は、仮庁舎となりうる民間のテナントがみつかったため市役所機能を移すということになりました。

私も一般質問でいくつか確認しました。市としては、一定のリスクには対応してきたとはいえ、SRF工法は耐震性を向上させる技法ではないことから耐震性のある建物に移ることで、市民や職員が被災するかもしれないとする不安感に対応するとの考えでした。

移転場所は民間のテナントを借りるため費用もかかります。
令和14年まで、概算で50億程度かかるとのことです。

多額の費用ではありますが、先ほど確認した判例から見ても分かるとおり必要な経費と考えられます。

そのため私としてもこの議案について賛成をいたしました。

その他の公共施設

さて松戸市には庁舎だけでなく図書館や教育施設など昭和40~50年代に集中して建てられた施設が多くあり、下水道や道路などのインフラも管理しています。

これらを「松戸市公共施設等総合管理計画」で計画的に整備を進めています。

これらについても市が責任を負うことで住民の権利が守られるというのが国家賠償法2条の考え方です。

今後、厳格にこの考え方に立っていきたいと思います。